内燃機関と呼ばれるクルマのエンジンは、ガソリンや軽油などの燃料と空気を、混合気というものにしてシリンダーに送り込み、爆発・燃焼させて動力としている。その空気を取り込む入り口付近、混合気を作る装置の上流側に設置しているのがエアフィルターである。
かなりの精密機械と言えるエンジン。その内部に取り込まれる空気は、それなりのクリーン度が求められるわけで、自然界の浮遊物、不純物、ある程度の水分(湿度)などを除去する必要がある。それを担っているのがエアフィルターというわけだ。その目的は一般家庭用エアコンのフィルターなどとまったく一緒。しかし、その形態はクルマ独自の工夫が凝らされている。
一般に家庭で使うエアコンのフィルターは、樹脂製の板状の網と言っていいもので、非常に単純、簡素なモノだ。一方、クルマに使われているエアフィルターは、吸入効率と濾過効果を追求した構造、素材となっている。実用車と呼ばれるタイプの車両でも、フィルター面積を最大限に取れるよう、コンパクトな中にジャバラ状に押し込んだような構造となっており、その面積は想像以上に広い。高性能車の場合は、単純な単一素材のフィルターではなく、樹脂系、紙系、金属系などが複合的に組み合わされたものとなっており、面積と効率を追求している。エンジンにとって最適な、クリーンな空気を作り出すだけでなく、大量のエアを供給できるように透過効率を最大限高めている。