エンジン内部を潤滑し、摩耗や抵抗を減らし、燃焼室の気密性をも補完するエンジンオイル。その機能を考えると、もはやパーツと呼んでもいい程であり、それ位エンジンの性能に影響を与える要素となっている。当然の結果として、高性能を掲げるオイルが数多く販売され、カー用品店やホームセンターで選択に迷う程、実に様々な製品が店頭を賑わせている。さらにオイルに加えて、その性能を補助、向上させる目的の添加剤と呼ばれるモノも、オイルそのものと同じ位の種類がリリースされ、どの製品も様々な効果、性能アップをアピールしている。パワーがアップする。燃費が向上する。オイルの寿命が伸びる。エンジン内部の摩耗が減るなど、思わず買って使いたくなる理論、説明がそのパッケージに踊っている。
果たして、そういった添加剤はどれくらい効果があるものなのか。現在、流通している添加剤を大別すると、テフロン系と有機モリブデン系の2種類になる。まずはテフロン系だが、金属にテフロンの膜を形成、コーティング作用を発揮し、摩耗・抵抗を極限まで低減するというのがその特徴になっている。確かに早期に限ると似たような効果はあるようだが、ある程度時間が経過すると、コーティングどころか逆の結果をもたらすという報告もあり、確かな効果の保証はない。一方、有機モリブデン系は、比較的ベースのオイルと近い組成を持っており、相性も良く、次期オイルグレード(最高ランク)の減摩剤として認定されていることもあり、確かな効果が期待できる。しかし、テフロンに比べコストで不利な面があり、モリブデンという名前も地味でアピール力に乏しいなど、メーカーとしてはビジネス面でデメリットがある。というわけで様々な要素がオイル添加剤にはあり、コレといった決め手はないようだ。