カーエアコンも屋内で使用するエアコンもまったく同じなのだが、冷媒とよばれる気体を圧縮→液化→気化というサイクルの中で生まれる気化熱を利用して、室温を下げている。一方、一般のエアコンと違い、暖房についてはエンジンの熱を吸収したクーラントを利用しているので、仕組みがまったく違うのだが、冷媒とよばれるガスを封入した温度調節機器であるという点に違いはない。日本で俗にフロンと呼ばれる気体がその冷媒である。正式にはフルオロカーボンと呼ばれるガスだ。しかし、現行で使われているカーエアコンのガスと、一般用エアコンのガスでは組成や性質に違いがある。オゾン層の破壊や地球温暖化への影響によって、いわゆる冷媒は生産が中止された特定フロンと呼ばれるものから、代替フロン、新冷媒と変化してきたのだが、その中で、一般用エアコンは環境対策の点で一歩進んでいるのが現状だ。
現在、カーエアコンのガスはR134aというものが使われている。これも新冷媒と呼ばれる種類のガスなのだが、温暖化に多少なりとも影響があり、徐々に違うモノへと変わっていく過程にある。ちなみに家庭用冷蔵庫などにも同じガスが使われている。ただ、ノンフロンガスを使った冷蔵庫なども出てきているので、工業用、業務用などを除き、環境対策的にはカーエアコンが一番遅れを取っていると言えるかも知れない。