1995 年(平成7年)に「輸出貿易管理令」が改正されて、中古車の輸出手続きがそれまでよりも簡単になりました。日本のクルマの性能は世界でも高く認められていて、海外では中古車でも高価格で取引されているのが現状です。
このような理由から、大がかりな自動車窃盗団が、盗難車を不正輸出し、海外でも日本の盗難車が数多く発見されているとの報告があります。
自動車窃盗団は、盗難車を販売するブラックマーケットの需要を調査し、実行犯役が盗んだクルマを「運搬」「車体の修理・改造」「書類の偽造」の各係が手を加えて、「販売係」が国内外に流すという組織的な犯行を重ねています。
また、それ以前の1992 年(平成4年)に暴力団対策法が改正され、暴力団の資金源が減少していたために、盗難車の売買が新たな資金源にされる実態もあるようです。
警察庁の統計から過去10 年を見ると、2001 年〜2003 年の62,000台を上回る年をピークとして、減少傾向にありますが、2010 年1年間でも23,775 台のクルマが盗難の被害にあっています。
2009 年1年間に500 台以上盗難にあったクルマは、
1.トヨタ・ハイエース(レジアスを含む)… 2,671 台
2.スズキ・ワゴンR… 1,047 台
3.トヨタ・セルシオ… 875 台
4.トヨタ・ランドクルーザー… 812 台
5.トヨタ・クラウン…648 台
6.いすゞ・エルフ… 544 台
7.スズキ・キャリィ… 507 台
ハイエースは、商用・乗用ともに含まれています。ハイエースの場合、ブラックマーケットの中でも発展途上国からのニーズが多いと言われています。エンジンやボディが丈夫で、多くの人や荷物を載せることができる上に、ハイエースは、年式が異なっても部品を共有・交換できることも理由だとされています。
数年前までは、トヨタ・ハイエースのほか、トヨタ・ハリアー、トヨタ・マークX、ベンツなどの高級車の被害が多い傾向にありましたが、最近は高級車に盗難防止装置が票重装備されたり、オーナーが後付けなど盗難対策が施されてきているために、被害にあうクルマの変化がみられます。
警察庁の資料によると、車上荒らしは2002 年の443,299 件をピークに減少してきてはいますが、それでも2008 年には54,836 件の被害報告があります。
盗難では一定の車種が狙われる傾向がありましたが、車上荒らしは車種に関係なく被害にあう可能性があります。
2008 年の日本損害保険協会の調べでは、
1.トヨタ・ヴォクシー
2.トヨタ・ノア
3.トヨタ・エスティマ
4.トヨタ・ハイエース
5.ダイハツ・ムーヴ
6.スズキ・ワゴンR
など、ミニバンや軽自動車が被害の上位にあります。
これは、ミニバンにはカーナビやオーディオが装着されていることが多い点と、軽自動車の場合は、セキュリティーが薄い傾向にあるからだと思われます。
車上荒らしでの被害品目の1位が「カーナビ」で約4割を占めています。次いでタイヤやホイールなどの外装部品、車内に置かれたバッグ類となっています。